浦和に鳴り物入りで新加入したFW高原が、いまだノーゴールで苦しんでいる。16日のナビスコ杯京都戦後、高原は「FWだから早く結果がほしい。でも焦らずにやらないといけない」と明かした。理想と現実のはざまで苦しむ本音だと思う。
結局、この日も得点できず、先月8日のリーグ開幕からすでに40日間ノーゴール。高原は「自分の仕事は得点を奪うこと」と、磐田で得点王に輝いた2002年当時から言い続けてきた。その仕事ができない現在、息苦しくて仕方がないだろう。
何よりシュートが打てていない。「周りとは試合ごとに呼吸が合ってきた」と話すが、京都戦で放ったシュートは前半のわずか1本だけ。1本も打てずに退いた試合もある。パサーとの呼吸が合わず、ゴールに迫れない姿が浮き彫りになる。
昨夏のアジアカップでは代表の頼れる点取り屋として君臨。準々決勝の豪州戦では相手DFをキックフェイントで鮮やかにかわし、同点ゴールを決めた。局面で発揮する「個」の能力に疑いはないが、その局面がくるのかどうか、初ゴールはそこにかかっている。だが、現在の浦和では、そこが非常に難しい。
「2トップの方がやりやすい」と明言する高原は、1トップのエジミウソンより一歩下がった位置での仕事を要求されている。中盤の底まで下がってボールをもらう高原の見慣れない姿が、現状を象徴している。
プレーする位置が低いため、サイドからクロスが上がるタイミングで高原はなかなかゴール前に顔を出せない。中央突破を図ろうにも、エジミウソンがサイドに流れる動きが多く、FW2人の距離が広くて連係で相手を崩す場面も作れない。
アジアカップでは中村俊のほか、遠藤、中村憲ら精度の高いパサーが顔をそろえ、横では汚れ仕事をいとわない巻が相手DFを引きつけスペースを作った。得点王になった磐田でも名波、藤田、福西が中盤を支え、相棒の中山は代表の巻以上に高原を引き立てた。
要は、周囲のサポートがないかぎり輝けない選手で甘んじるのか、少々強引に相手を引きずってでも、相手ゴールに独力で迫り続ける選手に化けるのか。30歳を目前にした今、問われているのだと思う。
高原は「結果を残さないと監督も使いにくくなる」と、先発の指定席にさえ危機感を漏らし始めている。ノーゴールが続けば、いくらエースと期待されても、指揮官が決断するときはくる。本人にも自覚はある。黙してそのときを迎えるぐらいなら、必死にゴールへの飢えを見せてもがいたほうがいい。(榊輝朗)